新年の抱負

今年はゼロから始めた会社が創立7周年を迎える。新卒で入った会社も丁度7年働いて退社したから、社会人としての経験時間が逆転しようとしているわけだ。では、どちらの7年が自分にとって成長期にあたったかというと、前半の7年だろう。この間、顧客は専ら中小企業の社長達。型にはまらず個性的な彼らと接し、自分で考え自分で行動する自由さと、事業に賭ける執念や貪欲さに大いに感化された。経済、法律、経営を手探りながらも実地で学べた。考えるより行動すること、待つより追っかけること、しゃべるより聞くこと、できるだけ多くの人に会うこと、暇があれば手紙を書くこと、といった自分のスタイルはこの時期に始まる。

勤め先から学ぶことはもうない、自分の力を試してみようと思い立ち、7年前に脱サラした訳だが、世の中そんなに甘くなかった。何よりなかなか儲からない。前職時代に感じた、自分にだって結構できるかもという感覚は、会社という傘に守られ、また優れた経営者達と同じ空気を吸うことで勝手に舞い上がっていた錯覚に過ぎず、所詮自分一人ではいかに無力であるかと思い知らされた。一方で、焦るあまり一人で大量の仕事を抱え、周囲の人材を育てることもできず、いらいらを募らせてきた。

長く模索を続けてきたが、ここ4年間集中してきた商売に加え、昨秋からより広い事業体に目配りするようになった。もともと素人集団だったのが、それなりに見識を備えた人材に恵まれるようにもなった。7年前に自分がやっていた経理仕事などは、今は昔、格段に進歩し、管理体制のレベルは相当上がっている。新社設立時に発生した250百万円の営業権の償却が今年完了するのには感慨深い想いがある。

で、総勢200人を抱えた会社で如何に成長が果たせるかなのだが、特別秘策が思いつく訳でもない。わかりきったことをギリギリまでやりぬくというぐらいしか言えない。それでも、簡単ではないと思う。わかりきったことの難しさとは、そこそここなせてしまうことである。そこそここなせると、疑問をもちにくくなる。工夫をしにくくなる。壁にぶつかりうまくいかないと自分のせいじゃないと思いたくなる。そうじゃない。自分次第で可能性はいくらでも拡がり、限界と思った壁も越えられるのだと信じられるかどうかだ。

同じ面子で長くやってくると、自然、自分達は間違っていないと思いがちになる。だが、今日市場とネットの力が猛烈な早さで情報を流通させ、弱者と強者を烈しく選別しようとしている。案外、競争力が衰えたり、ブログで叩かれてる組織でも、大手のマスコミや古くからの人達は見て見ぬふりをしていたりする。確かに、過去の栄光を笠に着た既得権益の力は絶大である。最たるものが政治家の世界で、今年決まる次の首相も絶対に世襲政治家である。最有力候補が安倍晋三である最大の理由は誰もが認める、首相になれそうでなれなかったプリンスを親父に持つからだ。
政治の世界は極端にしても、居並ぶ大企業だってそもそも必死であり、そう簡単に衰えたりはしない。それでも、本来事業の世界は、血筋、階級、学歴、伝統などとは無縁のはずである。だから、面白くやりがいもある。気の合う身内ばかりで甘く緩くやっていると、否応なく競争から取り残されてしまう。望もうと望むまいと格差が拡がる地殻変動が起こっているように思える。
今年は新しい7年を迎える最初の年になる。初心に帰って挑戦したい。