行く年来る年

1年前の新年の抱負で中韓英米独訪問としていたが、韓国には行けなかった。代わりにひょんなことからフランスと縁ができ、今もそうだが計5回訪れた。エールフランスのFlyingBlueマイレージは、はやゴールド、空港で時間が空くとラウンジのワインとスナックを貪っている。人生、何が起こるかわからない。

昨秋、4年半関わった出版業を離れることとなった。業績がパッとしないのもさることながら、なんとなく思い描いたテクノロジーとデザインとビジネスの境界突破の想いも道半ば。一応組織としてナレッジを重ねることはできた。なにせ、まず続けること、できれば少しづつでも改善を続けることに意味がある商売。そこから外れるというのは決定的な脱落なのかも知れないが、まあいい。

居心地に気まずさがあったのは、市場の成長性の割には常に人気の職種だということ。いくら人気でも業容や雇用を増やしにくいとなると、先行者既得権益保持に向かい、後を行く者は希望と現実に戸惑う。ひねくれ者のせいもあろうが、そのへんに閉塞感を感じた。業界にどっぷり浸かった人達が多い中にフラっと立ち入り、フラっと出てゆく人間がいてもいいんでないか。

グループ経営については依然経理に課題を感じる。数値管理がきちんとできないとなんとも判断のしようがなく、会社の進む方向についてのコンセンサスも難しい。できるだけ深くコミットし、正確に把握し、周囲に伝えたいと思ったりもしたが、優先順位が目先のことになりがちだった。小回りを利かせるスピードも大事なんだけれど、長い目で見ての大きな取捨選択を疎かにすると結局ツケを大きくしてしまうと思うのだが。

今年はこれまでとはあまりに違う環境でのスタートになった。自分がヨーロッパの静かな片田舎で家探ししたり、たどたどしく仏語話したりする正月を迎えていようとは1年前には夢にも思わなかった。それも「フラット化する社会」であればこそ、夢か現か、血が沸き立つようで、今際の際のような、浮かれた気分がなくもない。

年末には、ともかくも浮上を果たせた年であったと振り返られるよう、近くの人、遠くの人とうまく協力し合って新たな起業の1年としたい。