48'37"

気温11℃、湿度76%、8'31"、8'08"、8'16"、8'06"、7'53"、7'37"。Bourran亭にて起床する最後の日、ほぼ1日掃除のはずだったが、好天に誘われてつい走る。一昨日車を売却して以来歩く距離が急増していたせいか太腿が筋肉痛だったが、日曜の朝でランナーも多い中、飛ばさないなりにまずまず快調に走れた。

最後までフランスらしさを実感している今週、悩みの種はいくつかのやり残し。会計士には今週が最後だどあれほど言っていたのに、結局月曜に再度会わねばならない。今あるカネで足りないことはないと思うのだが、また足りないなんてことになれば悪夢だ。抜け出られない蟻地獄のようだ。
銀行は担当者が病気ということで今週はまるまる棒に振った。上司に無理やり会わせてもらったが、「知らん」の一言で悪びれたところもない。なんで11月に申し込んだカードと小切手が未だ出てこないのか?先月には「ところで子供の貯蓄口座を作らないか」と提案してきておいて、肝心な自分のカードは、「何かが足りないから渡せない」という状態がもう10日も続いている。新しいカード/小切手を入手次第、従来の銀行のそれらを返却しなくてはならず、それは帰国の1ケ月前に申請するのが普通らしいのに、自分の場合はこのままではよくても帰国の前日申請になる。
帰国当日の朝にしなければいけないことも発生した。ガレージの代表者が不在という理由で断られた、車の売却代金授受である。そういうことなら先に言って欲しかったのに。カネは本当にもらえるんだろうか?
何事につけ時間がかかるこの国で、起こりうるリスクが想定の範囲内に収まるようにあらかじめ予見できるようになるとしたら、ゼロを含んだ幅広いレンジでの可能性を想定しなければならない。物事が何日間も何も進まないという、日本にいたらありえない気の長い話も、こっちではそれをどんなに嫌悪しようと抗おうと、どうにもならない。そうなると、適応を余儀なくされるか、ノイローゼになるまでだ。

その一方で、周りの親しい人々達には大変世話になっている。今週は毎日誰かと一緒に外食したり、自宅に招待してもらっている。最後の二晩はホテルを予定していたのに、それじゃあカネがもったいないから、と申し出てくれたC嬢宅のリビングに寝床を供してもらっている。金目の家財道具はないのに、引き取ってくれる人達がうまい具合に分散して存在し、多くを捨てなくて済んだ。土曜、朝の学校のクラスメイトで失業者コンビだったイギリス人のAから、今から掃除を手伝いにいくぞ、とメールが来る。来られた方が邪魔と思って、力仕事はないから来るな、と返事しているのに来られてしまった。ところが、彼が思いの他の働き者で正直助かった。放っておいても、もくもくと部屋に掃除機をかけ、キッチンのステンレスや棚を念入りに磨いていて、自分よりはるかに几帳面なその作業のマメさに感激する。自分には他人の家の台所の引き出しの分別整理なんかできたもんじゃないのに。仏人の彼女Mからも、こちらのトラブルぶりを案じて、後始末作業が上手く進もうが進むまいが必ず帰国前に連絡を入れるように、と釘を刺される。二人には、机、椅子、照明、ベッドマット、掃除機、食器等を引き取ってもらった。自分が馴染んだ家具が他人の家で引き続き利用される、というのはとても嬉しい。どこにでもある緑茶の円柱型茶筒もあげたが、模様がすばらしく美しいと言って喜んでいた。