リハビリの日々

40日経過。腰の痛みはとっくに消えたが、下半身の痛みはあんまり変わらない。特に左脚の脛。それから脹脛から尻にかけての脚の背面部。座る、立つ、歩く、と特に薬の切れた朝方は大変。起きられずに這いつくばって呻いている時間がそれはそれは長い。風邪にしろ、手足の切り傷や捻挫、マラソン後の筋肉痛にしろ大抵の障害は発生から10日もすれば回復してきたものだが、今回ばかりはどうにもしぶとい。腰痛なら年か、と思いがちだが、ヘルニアは椎間板に変性が生じ始める20歳台が一番多く、それ以降年を取る程に水分が失われて椎間板内の髄核自体にそれを包み込む繊維輪を元気に破って飛び出る勢いが失われてくるものらしい。現在の治療法は、まず薬。身体をまったく動かさなくて済む時間帯がある日はできるだけ1日2回の服用に抑えているが、普通の日常生活のためには日に3回が欠かせない。少なくとも痛み止めとしての効果は絶大。あとは日曜以外の毎日、病院で腰に電気スタンドみたいなマイクロウェイブをかざす温熱療法と、ベッドでベルトで結わえた上半身と下半身を各々反対に20〜30kgの力で引っ張る牽引療法とを1日あたり20分間行っている。ただ、身体が楽になっているとか、治っているという実感はない。そのままT医師には言い続けているが、「どうしても2〜3ケ月はかかるでしょう、ただ、2年もしてMRIを撮り直したら、すっかりヘルニアの影も形も無くなっていたりするんですよ。すぐに手術としないで、できるだけ保存療法で治すのが最近の常識です。」と同じ話を聞かされている。若々しい身体であれば、ピュッと飛び出たヘルニア君が、おっと失敬とばかりにまたピュッと霧散してくれるものなのかも知れないが、我がドッコイショと顔を出した老ヘルニアは、自分が邪魔者であるとの自覚もないまま、さっさと退散とはならずにボーッと要所に鎮座し続けてしまうのではないか。それとも、方向音痴よろしくあっちへウロウロこっちへウロウロするのか。そういえば、日によって痛む部位は微妙にまちまちだ。本来異物や老廃物を体外に押し出す働きをすべき周囲の細胞達も怠慢を決め込んでいるのではないか。暇に飽かせてもどかしい想いがそんな想像に膨らむ。
不幸中の幸いと言えば、先週は義妹が第二子のお産で2歳の長男を何日か当家で預かる機会があったことである。半身不随の身でも乳幼児達の相手は多少はこなせる。家ではなかなか食事を口にしないという義妹の言葉が信じられないほど誰よりもよく食べてた。久しぶりに娘二人の相手をする時間が増えたのも彼らにはよかったかも知れない。成長を見せつけられたのは一緒に本屋へ行った際のこと。二人それぞれ勝手に立ち読みを始めていつまで経っても終わる気配がない。一所にじっとしてらんない連中を引っ張り回すのに苦労させられてきたと思ったら、いつのまにか読み物に集中するようになってた。二女は未だに読み書きができないはずだが、絵や写真を頼りにするのか頁を熱心にめくり、ペンを握れば意味不明な記号で手紙か何かを量産している。