発生から2ケ月

ヘルニア君は成長こそしないものの、依然神経根にどっかとのしかかったまま居座り続けているようで、病状はあまり変わらない。朝ベッドから起きるのは一苦労だし、歩行のスピードは時速1km以下だろう、薬を飲んでいても足をひきずるのでどうにも遅い。外出しない日は朝しか薬を飲まなくても過ごせるようになったが、これは痛みを抱えながらの生活に慣れたというだけだ。痛む部位や痛み具合が変化しているのかどうか神経を研ぎ澄ませて感覚を追ってみようという気持もあるのだが、ビキッと骨がきしむような痛さは、およそ癖になるというよりうんざりさせられるもので、悪化はしてない程度の自覚は持てるものの、体を動かすことを考えるほどに気合が抜けていく。労災に切り替えて自己負担ゼロだし、家から徒歩100mの距離なので、一応毎日T医院にて牽引と温熱療法のリハビリを続けているが、効果は殆ど感じていない。他の治療法、鍼灸やカイロプラクティクなどあるようだが、それらは選択肢があまりに多そうで試す気にはなれていない。要は患部に刺激を与えて血流と細胞の代謝を促せばよいのだろうと思い、近所の銭湯でジャグジーと冷水シャワーを交互に腰に浴びせる自己流リハビリを始めた。寝転がりながらの腹筋・背筋を鍛える体操も暇をみてやるようにしている。

腰を痛める人は意外に多いようで、自分もやったから辛さはよく判る、という言葉を思いのほか沢山もらった。寿司屋という立ち仕事だったから大変だったんでしょう、とも聞くのだが、それはわからない。少なくとも言えるのは、寿司屋仕事を始めて生活リズムが大きく変化したことであり、例えばそれまで数年間続けていたジョギングをする暇がなくなってしまったので、背と腹を意外に使う運動の習慣がなくなったことによる影響などあったかも知れない。腰痛の本を読むと、必ず普段の姿勢の重要性が説かれている。前にも書いたが、若い頃からの机に座る際の猫背姿勢がきっと少しづつ腰椎椎間板に負担を掛け続けていたのだと思う。

2ケ月の自宅待機とは会社勤めの人にとってできうることなのだろうか。自分の場合も最初の1ケ月は薬で騙し騙し続けることもできたぐらいだから、まったく就労不能という訳でもない。ただ、それも、歩かないで済むバイク通勤、座っているより立っている方がラク、ほぼ上半身だけでできる包丁仕事、といった条件が揃っていたからで、今でもそうだが、地下鉄に乗ることを強いられただけでも憂鬱になる。いつ治るのか、という不安な精神状態が仕事にも日常生活にもよくないかも知れない。自分の場合は、一つの仕事を長く続けたことのない飽きっぽい性格なせいか、動けないものは仕方ない、と今は思う存分ダラダラしている。そう言えば、新卒で入った会社を辞めて今月末で丁度10年になる。辞める際には、銀行出身の当時の人事部長に「君はきっと後悔するよ」と断言されたものだった。確かに、辞めてなければ、今年は私的整理を経験できてたりする訳だし、自分のような軽薄な人間はずっと中途半端で世間知らずのままなんだろう。

家にいる時間が長いので、長女の学童、次女の延長保育を今月はやめた。しかし、虐待まではしないものの自分の面倒見が良いわけでもないので、次女は、延長保育の方が友達と遊べていい、と言い出している。毎日作っている食事では、ガキ達の舌を考慮して香辛料を使わない甘口を心がけているのだが、「パパの料理で一番好きなのはお寿司!」と言われるのが複雑である。

告知:今年の隅田川花火は7/25(土)。見物希望の方、乞う、ご連絡。