北欧バカンス

Bordeaux International School同窓会。昨夏のポルトガルに続き、今年はスウェーデンとなった。南部スコーネ地方なので、ストックホルムからではなくコペンハーゲンから電車と車で30分ほどでH家に着く。妻子は2週間、自分は1週間、親子計12人の共同生活。北海道のようにだだっ広い穀倉地帯が続く風景の中の、大きくはないが空と緑に囲まれた家で1日とりとめなく話をしながらだらだら過ごす。日本人には半袖では寒いくらいなのに、スウェーデン人達は短い夏を惜しむように毎日のようにプール、公園、海岸沿いのコテージなどへと誘ってくれた。冷たそうな海をじゃぶじゃぶ泳いでいたが、とても真似する気にはなれなかった。
子供らは相変わらず臆することなく適当に言葉をつなぎ合わせて上手にコミュニケーションしながら遊ぶ。当地の小学校にもぞろぞろ授業見学に行かせてもらう。金髪の子供ばかり車座に座ったところでおもむろに先生がギターを弾きだすので、おお、サウンドオブミュージックか、と思いきや、何を歌うのやら話すのやらさっぱり判らない。そんな彼らも小学3年生から英語を習い出し、大人になれば、スーパーのレジのおばさんも魚屋のアニキも難なく英語を使いこなしてしまう。
柔らかい日差しを楽しめるベストシーズンが今回だったのかも知れないが、違った趣なんだろう、夕方4時から朝の9時まで夜という厳冬期にも来てみたいと思った。
IKEAの食材売り場やレストランから想像するにたいした食文化はなかろう、と高を括っていたのだが、ニシンの酢づけ、サバの燻製、茹でザリガニ、牛ステーキなど、思ったよりうまかった。庭でのバーベキューは夏の間、週に5日食べることもあるという。和食もリクエストされ、カレー、寿司、鮭の照り焼きなど振る舞う。ただ、新鮮な魚はなかなか手に入らないようで、どうやって入手するか、だいぶ調査や買物のために手間をかけさせてしまい、恐縮した。結局、生魚としては、サーモンと鯖を買ったのみ。欧州の鯖は身が白っぽく脂が多いのが特徴と思うのだが、穀物酢の持ち合わせがなかったので、当地のリンゴ酢を使って締めてみたところ、元々の鮮度に問題もあったのだが、やはり林檎臭くてまずかった。太めの人が多いが、和食を2ケ月も食べ続けたら、ダイエットなど簡単だろうに、と思う。しかし、なかなか食習慣というのは変えられるものでもないのだろうか。
H家のご亭主Pは6週間(!)のバカンス明けで会社が始まっても夕方の4時頃には帰宅して我々の相手をしてくれたり、バーベキューを焼いてくれた。最近は外で働かずに家事を少しばかりはこなしてたつもりだったが、プラントマネージャーの仕事をしながらも彼は自分よりもはるかに家事を器用にこなすので驚いた。ウチのガキ達を預かってプールにも連れてってくれたが、養子でないかと好奇の目で見られたらしい。自分の帰国時には朝の4時起きで最寄駅まで車で送ってくれた。
自分の場合、そもそも4月にヘルニアを患って休職してなければ今回の渡欧はなかった。それが良かったのか、悪かったのか。でも、代え難い貴重な経験とリフレッシュができたのは確か。
次回は東京ラウンドになりそうなのだが、どこへ行くのが適当なのか、こちら側が彼ら並のホスピタリティを発揮できるのか、はなはだ疑わしい。自然に囲まれる生活を愛するスウェーデン人にとって東京は別世界だろうし、我が家のどこに外人家族御一行が宿泊できるスペースがあるというのだろう。課題満載である。