発気揚々


自分の場合は昔から非力で相撲は弱かった。大会に出るどころか、機会があっても尻込みしただろう。女子が出ていいもんなのか、という疑問もあった。ところが、今回、言下に拒否する長女に対し、次女は躊躇なし。勉強系はまず敵わないが、少なくとも体重で長女を上回る次女にとっては、ここは自分の頑張りどころ、と、その気になったということだろうか。観音裏の富士小体育館での相撲大会、小1の部参加者は浅草周辺の小学生45人、男女比は5:1くらい。受付でサラシの「まわし」を渡されて、褌の締め方どうすんだっけか、と困惑したが、短パンの上から腰のあたりにベルト状にぐるぐる巻きするだけのことだった。「優勝したらマクドナルドのハッピーセット、よろしくね」、と宣言して挑む次女は、果たして身の程知らずなのだが、ハッピーセットとは謙虚かも。結果は、予選を2勝1敗で勝ち抜くも、決勝トーナメント1回戦で敗退。押し相撲しか知らない彼女は男子の投げ技に簡単に顔からマットに叩きつけられてた。体格差は否応無く有利不利材料になるのだが、かといって必ずしも強い子は大きい訳でもない。ただ、強い子というのは、並み居る小学生の中でも、引き締まった身体や精悍な顔つきという点で抜きん出た異彩を放っていた。次女は優勝した子に頼んで一緒に写真に納まってピースサイン。長女のクラスメイトの試合を見学してたら、隣で若い青年がカメラ片手に何人もの子の名前を次々呼んで大声で応援している。日曜なのに熱心なことだ、どこかの体育クラブのインストラクターだろうか、と思ってたら、今春東北から引っ越してきたばかりの31歳、長女の担任の先生だった。